広尾の東松照明

一日お休みの火曜日、思い立って広尾まで車を飛ばし、都立中央図書館東松照明の写真集を見て過ごす。『日本列島クロニクル――東松照明の50年』と『東松照明と沖縄、太陽へのラブレター』。沖縄からカオス的世界のビジョンへと開かれていった写真家は、つねに廃墟へのまなざしを携えていた。イメージの鮮烈な存在感。どんな風景写真にも何かが起こりそうな物語性、事件性が立ち現れている。波照間島の雲の写真がいいなあ。強烈だ。「シャッターを切るとき、それはイメージが歴史と詩的に交わる瞬間」(多木浩二)。