イヴ・モンタンを聴く

去年古いカセットテープを整理していたら「イヴ・モンタン・リサイタル’82」というテープが出てきた。シャンソンを聴く趣味はない。たぶん何かの気まぐれで図書館からLPを借りてダビングしたものだが、そのテープもあまりじっくり聴いた記憶はない。捨てようかとも思ったが、何となく再生してみると意外にいい歌もあって歌詞カードが欲しくなり、物好きにもヤフオクで中古LPを手に入れ、歌詞カードを眺めながら繰り返し聴き始めた。1曲目のJe vais à piedが名曲!「散歩者の日記」のテーマ・ソングにしよう。Le télégrammeというスケッチも楽しい。作詞者にアラゴンやプレヴェールなど文学者の名前も数多く、chanson littéraireの伝統を実感する。なんとも文学の香り高い。ただボードレールのLes bijouxにレオ・フェレがつけた音楽はあまりに日常的すぎてちょっと違うかなー。その次のアラゴンのL'étrangèreみたいに低くささやく音楽が合うんじゃないかな。詩は朗読や歌として演じられることもある。いろんな解釈が可能なんだな。詩は楽譜に近いのかもしれない。イブ・モンタンが歌手としてカムバックしたこの有名なリサイタルを開いたとき60才ちょっと。僕も彼と同じ年になったわけだ。感無量。次はジョルジュ・ブラッサンスでも聴き込んでみるかな。