花どじょう

 夏休みが近いが、今の部署はこれから仕事の本番。忙しい夏を前に英気を養おうとその部署の5人で浅草の「駒形どぜう」へと繰り出す。営業200年の老舗である。渋谷の店には何度か足を運んだことがあるが、本店は初めてなので楽しみにしていた。のれんをくぐると一階は広々とした入れ込み座敷。ここも風情があるが、今回は予約を入れていた3階の個室へ。小じんまりとした部屋で丸鍋、さき鍋、柳川、蒲焼、唐揚げ...どじょうづくし。山椒をピリリと効かせてやるとビールと冷酒がどんどんすすむ。どじょうっていつが旬なんだろうね、放射能大丈夫かね、どこで獲れるやつなんだろうね、泥を吐かせるのかね...などとドジョウ談義に花が咲く。千葉県佐倉出身の一人がこんな話をした。千葉の田んぼにもドジョウがたくさんいるが、とくに美味しいのが稲の花がぽつりぽつりと田んぼに落ちる頃のもの。その稲の花を食べるドジョウは体内が浄化されて臭みがなく美味しい。土地の人はそれを「花どじょう」と呼ぶのだそうだ。花どじょうなんて、なんと詩的な...。
 そのあと神谷バー電気ブランをひっかけて、千鳥足で浅草橋まで歩いて総武線で帰宅した。絵に描いたような浅草の宵。良い酔い(ヨイヨイ)。