グアムの想い出

snafkinne2010-04-14

  新しい時間の区分が始まった。忙しい。夜酒を飲むと30分も机に向かわないうちに眠くなる毎日。でもこのところようやく段取りが整ってきた。3月28日から4月2日に行ったグアムを思い出す。息子のfirst trip abroadだった。北緯13度、マリアナ諸島最大の島グアム。アメリカ合衆国準州、大統領選挙の参政権はない。淡路島と同じほどの土地に16万人が暮らす。土地の30%は軍用施設。そして年間100万人の日本人観光客が訪れるビーチ・リゾート。いろんな意味で「沖縄」である。人口の40%は東南アジア系のチャモロ人。オーストロネシア語族に属するチャモロ語はスペイン語からの借用が多い。「おはよう」はBuenas Dias、もろスペイン語。「こんにちは」はHafa Adaiハファ・アダイ、Have a good dayが訛ったもの? 島の南部の小村ウマタックのサン・ディオニシオ教会でトイレを借り、地元のおじさんとおぼしき人にのあいさつされときは「ホーダイ」って聞こえた。スペイン、アメリカ、日本、そしてアメリカと大国の支配下で暮らしてきたチャモロの民は戦争のたびに犠牲となった。太平洋戦争のあいだ、グアムは大宮島(だいきゅうとう)と呼ばれていた。  
  ビーチで2冊の本を読んだ。1冊はパオロ・コエーリョ『アルケミスト』。3月に職場を離れた同僚がお別れスピーチで引用していたのと、それを聞いていた僕の机の隣に座っているべつの同僚が以前その本の初版を出した出版社に勤めていて、その本を懐かしそうに語っていたのが何となく気になったから。読んでみるとハリー・ポッターみたい。エジプト目指してアンダルシアを旅立ったサンチャゴ少年がモロッコかどこかでお金を騙し取られたあと、落ちぶれたクリスタル商人の店で働き、商才を発揮して傾いた店を立て直す、といった件が一番面白かった。もう1冊はクリス・ペレス・ハワードの『マリキータ』。チャモロ人の母と米軍兵士の父のあいだに生れた筆者による、占領日本軍の将校に殺された母親の物語。チャモロの民の苦難を思う。普天間をグアムに移せばいい、などと安易に考えることはできない...。そういえば池澤夏樹に『マリキータ/マリコ』という短編集があった。全然関係ないけど。