ベルナール・ド・メイエ氏講演会

慶応大学主催のBernard de Meyer氏講演会にzoomで参加した。メイエ氏は南アフリカ共和国のクワズール・ナタール大学教授であり、アフリカのフランコフォン文学の専門家である。講義タイトルは「ヴェロニック・バングラの滑稽な眩暈:チェルノ・モネネムボ『藍色のサファリジャケット』登場人物の血縁関係について」。Tierno Monénemboは1947年生まれのギニアの小説家で生化学者。2008年『カヘルの王』でルノドー賞を受賞している。フランス語圏文学では著名な作家なのだそうだ。僕はこの講演で初めて知った。「小説家で生化学者」という肩書が興味深い。『藍色のサファリジャケット』Saharienne indigoは2022年に出版された彼の最新小説。フランス人女性とギニア人女性の偶然の出会いから始まり、パリとギニア、ヨーロッパとアフリカ、現実界想像界が交錯する。植民地と独裁政治の苦悩の歴史を負う土地ギニアをめぐるアイデンティティ探索のディスクールであるようだ。講演タイトルのburlesqueという言葉に込められた意味が気になった。読んでみようか。ちなみに『カヘルの王』と『プル族』は石上健二訳で現代企画室から邦訳が出ている。