昨日はグリッサンの読書会。Faulkner,Mississippiを読み進める貴重で充実した時間。神楽坂の宵もまた楽し。
8月になってからも家のなかの片付けやらPC周りの整備やらであっという間に時が過ぎ去っていく。
  先週の木曜日に、ジョー・ジョンストン監督の『遠い空の彼方に―ーOCTOBER SKY』のDVDを妻と観る。同僚の地学の教師がたいそう気に入っていて貸してくれたものだ。どこにも出られないこの夏休みのささやかな息抜き。
  1957年、ウエスト・バージニア州のとある炭鉱町。ソ連によるスプートニクの打ち上げに心奪われた高校生が仲間とロケット製作を始め、全米科学コンテストにチャレンジする。若者は皆炭鉱夫になるのが当たり前の保守的な町で彼らは変人扱いされるが、自由な思想の持ち主である美しい数学教師に励まされ、次第に周囲の理解を得て、ついにコンテストで優勝するという普通のアメリカン・サクセス・ストーリー。だけど父親の描き方がいい。炭鉱の中間管理職で自分の仕事に誇りを持つ父は、息子に後継者になって欲しいと思っている。事故やストライキなど次から次へと降りかかる問題にひるまず立ち向かう仕事一本の頑固親父は子供たちの「科学道楽」に批判的だが、ピンチのときには手を差し伸べる。その揺れ動く父の姿が単純なストーリーに厚みを与える。とくに、成功した息子を炭鉱のエレベーターの中から見送る場面。エレベーターの外から父の表情をとらえるカメラ・アイが、エレベーターの中から息子の後姿を追う父の視線に切り替わり、エレベーターの下降とともに、息子の後姿は画面上方に消えてゆく。ああ息子よ、お前は奨学金を得てこの町から出て行くのか、俺はモグラの人生を行くのだよ...。切なさが溢れている。