keith jarrett solo 2 nights

GWに母親を練馬から迎えて、引っ越しが無事完了した。これから新居の整理やさまざまな交渉など山のような仕事が待ち受けているにもかかわらず、キースのソロとなればやはり行かずにはいられない。5月6日の渋谷オーチャードホール、9日の紀尾井ホールでのコンサートを聴く。ステージから10列目くらいの席だった。オーチャードの第1部。1曲目は印象派風の水の戯れのようなあるいはスクリャービン風のプレリュード。2曲目からリズム出し。オスティナート。プロコっぽい? 3曲目はプリティ・バラッド。4曲目はラグとバップの混合音楽で新しいパターン。5曲目はバップ風のメロディを弾き始めすぐやめた。それから4曲目の続きのような音楽。6曲目は響きが広がりhymnとなった。思いのほかよくピアノが鳴っていた。座席のせいか、キースの調子がよかったのか...。2部はメモを失くした。最近のソロはこうした組曲風に定型する傾向を見せている。それぞれの枠のなかで広がるキースの即興音楽。
 紀尾井ホールの方はかなり期待していた。キースのピアノはこのくらいのホールがちょうどいいからだ。風邪をこじらせてマスクをしてでかけた。演奏中に咳き込まないか冷や冷やしたがなんとか乗り切った。演奏の方は、2部のなかばでピアニストは力尽きたようだった。ピアノに座って、弾こうとして、やめ、thank youとつぶやいて舞台を去った。それでも鳴りやまぬ拍手に答えて残る力をふりしぼるかのように何曲かのアンコールを弾いた。
 ぼくはこの音楽家から音楽の本質を学んだ。河内紀氏の詩、キースのプロモーションを手掛けてきた鯉沼利成氏のロング・エッセイが読めるパンフレットも充実していた。そのパンフレットの扉には「価値ある音楽を贈る」と印刷されている。(7/22記)