土曜日のサキ

久しぶりに休みの土曜日。子守をしながらのんびり過ごす。昼前に昨年から合気道を始めた息子を小金井体育館まで送り、稽古のあいだロビーで『判断力批判』を読み進める。稽古が終わったらいっしょにおにぎりを食べ、午後は某中学校のグランドで今度はソフトボール。最近地元のチームに入れてもらったのだが、最年少のちびすけなので、守備などさすがにあたふたしている。それを眺めながら中村和恵『天気予報』。大胆不敵に青空に広がっていくことばたち。「青鷺」の抒情そして「満開の海」。ぼくも乗ったつもりのないバスの運転手に終点までと応えて一番前の席に座ろう、満開の海を目指して。夜はサキ。勤め先で接するティーンエイジャーたちが書いてきたO.ヘンリー短編集の感想文があまりにもナイーブなので「サキを読みなさい!」と言い放ったが、自分ももうすっかり忘れていて、本棚から古い新潮文庫を引っ張り出した。意表をつくどんでん返し。平気でうそをつく登場人物たちがスパイシー。翻訳者の中村能三氏が指摘するように、O.ヘンリーとサキのコントラストはたとえばサキの「宵闇」に鮮やかだね。サキ(本名ヘクター・ヒュー・マンロウ)はビルマ生まれ。植民地生まれのスコットランド人で、第一次大戦で一兵卒として戦死した。